Crypto Life

Tech in X

ブロックチェーンを中心にテクノロジーや東南アジアのスタートアップ情報を提供

リアル通貨に比べた暗号通貨利用の2つのメリット

Bitcoinの相場が2017年も引き続き上昇し、ついに1000ドルの壁を突破しました。Bitcoinは投資目的で語られることも多いですが、実際の取引でもいくつかの点でリアルな通貨(円、ドルなど、Flat Currency)や送金手段に比べて優れている点があります。

今回は、Bitcoinに代表される暗号通貨の実取引上のメリットをまとめてみました。

 

1) セキュアな取引

ご存知の通り、現在最も一般的なオンライン取引での決済手段は、クレジットカードです。しかし、クレジットカードを利用した取引の場合には、クレジットカード番号、セキュリティコード(CVVなどと呼ばれている3桁のコード)など秘密情報をインターネットを経由して送信しなければいけないという危険性があります。

 

通常、ネットワークレベルの暗号化の仕組みである、SSLなどを使用して取引の安全性を担保していますが、SSL脆弱性がある場合や情報送信後に送信先から流出した場合には、自分のクレジットカードを使用されてしまうおそれがあります。事実送信先から情報が流出した事件は毎年起きており、2016年に発生した以下の事件ではセキュリティコードも含めての情報流出が疑われています。

www.itmedia.co.jp

 

一方、Bitcoinなどの暗号通貨を使用すると、Bitcoinの流出につながる"秘密情報"を送らなくても取引を行うことができます。

簡単に理由を説明すると、Bitcoinトランザクションには「送信者の情報」、「送信額」、「送信先」という大きく3種類の情報が含まれており、「送信者の情報」はセキュリティ用語では署名と呼ばれています。その送信者が"署名"を行ったかどうかは世界中の誰もが検証できますが、署名自体は送信者のパソコン内部で行われるので、署名に必要な秘密情報を外部に発信する必要がありません。

 

Bitcoinトランザクションの関する説明 

cryptocoin.hatenablog.com

 

ちなみにこの署名に公開鍵暗号方式とう暗号理論を使用しているため、一般にBitcoinなどの仮想通貨一般は暗号通貨(Crypto-Currency)と呼ばれています。よく勘違いされてますが、「暗号によりプライバシーが保護されるから暗号通貨と呼ばれている」わけではありません(むしろBitcoinは全トランザクション情報が公開される仕組みになっているため、非常に透明度の高い仕組みになっています)。ちなみに公開鍵暗号自体はIT系の技術者なら誰でも知っているものであり、Bitcoinによる発明ではありません。

 

2) すばやく安価な送金

日本国内での送金の場合は日銀内の当座預金残高を銀行間で付け替えるだけで送金が完了するため、即座にそして安価に送金が完了します。しかし、国際送金の場合は数日かかってしまう場合が一般的です。例えば、楽天銀行を例に挙げると、送金完了までに送金を実施した日+1〜3日時間がかかってしまいます。

 

これは、国際送金の場合には相手行に送るまでにいくつかの金融機関(コルレス口座)を中継するパターンが一般的であるためです。これにより、送金完了までには時間がかかってしまうだけでなく、最悪途中の中継銀行で資金が止まってしまうことすらありえます。

RTGS(即時グロス決済)とは何ですか? : 日本銀行 Bank of Japan

コルレスバンク - Wikipedia

 

これに対して、Bitcoinを使用すると約10分で送金が完了できるうえ、送金がキャンセルされてしまうリスクを受信者が負担する場合は、即座にBitcoinの送金が完了します (zero-confirmation transactions)。また、手数料についてもほとんど無視できる金額で送金が可能です。仮に10分待つとしても、通常の国際送金に比べて圧倒的に早く、そして安く送金ができるため、主に新興国での需要が高まっています。

 

ただ現在は送金されたBitcoinをそのまま店頭で使用することがほぼできないため、実際にBitcoinを送金してから現地で使えるようになるまでには、1日から2日程度かかると想定されます。また、Bitcoinから現金に変換する過程で仲介手数料を取られるケースが多いため、送金手数料も数百円ほどかかってしまうのが現状のようです。例えば、取引所サービスを運営しているbitFlyerの場合は、216円から756円の出金手数料を課しています(2017年1月現在)

 

bitflyer.jp

 

今後、店頭でもBitcoinでの支払いを認める企業が増えた場合には、この問題も解決されていくと想定されますが、そうなるにはまだまだ時間がかかりそうです。何より、Bitcoinを法定通貨として認めている国はごくわずかであることから、企業にとっては支払い手段として認めることは大きなリスクとなっています。店頭での支払いを本格的に普及させていくには、いくつかの判例を通してBitcoinの法的位置付けが明確になっていくことが必要かと思います。

 

ちなみにですが、日本国内でもBitcoinの支払いを認めるお店は徐々にではありますが増えてきているようです。

日本のビットコインが使えるお店(ビットコイン決済対応店舗) | Bitcoin日本語情報サイト

 

3)まとめ

Bitcoinにはセキュアな取引とすばやく安価な送金手段という二つの実際上のメリットがあります。そのほかにも中央機関による金融操作や、預金封鎖などを通した資産の収奪リスクが低いことは、新興国などの政情不安定な国で生活するにあたってはメリットになります。

 

しかしながら、政情不安定な国が多いアフリカ地域では、インターネットの普及率も依然として30%を下回っています。そのような国でのインターネット普及が今後進むかどうかは、Bitcoinが投資だけでなく、実生活に根付いたものとして普及するかどうかの大きな決め手のひとつといえるでしょう。

www.garbagenews.net

 

 

参考サイト

www.coindesk.com