25歳海外駐在員の暗号通貨ルポ

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25歳海外駐在員の暗号通貨ルポ

25歳の東南アジア某国に居住する駐在員。Bitcoinなどの暗号通貨をメインに、英語や駐在生活に関して情報発信中。

怪しいアルトコインを見分ける3カ条

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あるアルトコインがBitcoinとどのような点が異なるかを測定する尺度として、Mastering Bitcoinの中では以下の3項目が紹介されていました。

  1. マネタリーポリシー
  2. コンセンサスメカニズム
  3. 特有の機能(匿名化、Ethereumなどのプログラム実行プラットフォームなど)


本の中では、これらの要素が並列なものとして記載されていますが、各要素とマーケット評価との関係には差があるかと思います。有名なアルトコインの特徴とその現状を確認していくことで、どの要素がマーケット評価に直結するかを確認していこうと思います。なお、統計的な分析は全くしていないです笑

Mastering Bitcoin

Mastering Bitcoin

そもそもアルトコインってなんだ?

アルトコインとは、Bitcoin以外の暗号通貨のことを指します。暗号通貨はBitcoinの発明により登場した分散型の通貨のことですが、今ではBitcoinだけではなく500種類以上の通貨が開発されています。有名どころでいうと、Bitcoinと瓜二つのLitecoinやCoinの送金以外の機能を付与したEthereum、NEMなどがあげられます。


2016年末時点でのアルトコインの時価総額ランキング
cryptocoin.hatenablog.com


BitcoinやLitecoinのソースコードは公開されており、それをもとにして誰でも新規にアルトコインを開発することができるので、魑魅魍魎がはびこる怪しげな世界になっています。


マネタリーポリシー

それでは、個々のアルトコインを特徴付けるポイントを一つずつ見ていきたいと思います。まずはマネタリーポリシーから。


マネタリーポリシーとは、通貨価値が次第に上昇していくデフレ型に設計されているか、あるいは次第に通貨価値が下落していくインフレ型に設計されているかという通貨供給面での特徴を指します。これは主にコインを発行するタイミングや発行量に依存して決まります。BitcoinやLitecoinは2100万BTC (8400万LTC) が上限に定められておりデフレ型に設計されている一方、Ethereum(時価総額2位)やMonero(時価総額5位)のように発行上限が定められていないインフレ型通貨(または非デフレ型)もあります。

Bitcoinの供給イメージ
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Ethereumの供給イメージ
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Ethereumは時価総額が暗号通貨界で2位と主要なポジションを占めていますが、その評価の理由は分散型のプログラム実行基盤としての役割であり、マネタリーポリシーがBitcoinと異なるからという理由ではありません。また、Ethereum同様にインフレ型で設計されていたFreicoinは、一時高騰したものの、今では時価総額9BTCとほとんど価値がない通貨になってしまいました。
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逆にこれといった特徴がないコインはデフレ型で設計すればうまくいくのかというと、暗号通貨上位ランキングに顔を出している通貨はBitcoinの機能以外の何かしらの特徴があるのが現実。デフレ型で設計しても、Bitcoinと同じものが出来上がるだけなので、当然といえば当然です。


唯一の例外は、Litecoin (時価総額4位)でしょうか。LitecoinとBitcoinの違いは、Litecoinの通貨供給量Bitcoinの約4倍である点と、PoWアルゴリズムにScriptを使用している点ですが、このことがLitecoinを現在の地位に押し上げているとは言い難いでしょう。


Litecoinは「Bitcoinの2番手コインとして、発行タイミングが良かったという偶然」と、「SegWitをBitcoinに先駆けて実装することが期待されるなど、実際に動くBitcoinのテストネットとしての役割」という2点が、今のLitecoinのポジションを築いている理由かと思います。

コンセンサスメカニズム

Bitcoinではどの取引が正当なものであるかを判別するために、PoW (Proof of Work)という仕組みが用いられています。これは取引が記録される台帳( =ブロックチェーン)に取引内容を書き込む人を、「計算量が多い問題を最初に解くことができた人」と定義することで、台帳の二重更新を防止しようという試みです。ブロックチェーンに書き込む人が一意に決まりさえすればいいので、Bitcoin以外のコインではPoWではなく、PoS (Proof of Stake)やPoI (Proof of Importance)といった別のコンセンサスメカニズムを採用している通貨も存在します。


Mastering BitcoinではPeercoin (時価総額30位)やBlackcoin (時価総額50位)などをコンセンサスメカニズムの独自性の例として紹介していますが、いずれも暗号通貨界で重要なポジションを占めているとは言いがたい状況です。ここまで見てきた通り、マネタリーポリシーやコンセンサスメカニズムは確かにBitcoinとの違いを特色づけるものではありますが、マーケットからの評価とは直結しないことがわかるかと思います。

特有の機能

結局あるアルトコインがマーケットから承認されるかどうかは、この点にかかってきます。
Bitcoin上で実現できていない機能や、実現できているけどBitcoin仕様の制約がある機能を実装しているアルトコインは、やはり注目を浴びやすくなります。現在暗号通貨上位を占めている通貨は、主に以下のいずれかの仕組みをマーケットから評価されているようです。

匿名化

このカテゴリーには、Monero(時価総額5位)、Dash (時価総額6位)、Zcash(時価総額13位)などが当てはまります。


匿名化というと、Bitcoinが匿名だという印象の方もいるかもしれませんが、Bitcoinは全取引履歴がブロックチェーン上に完全に公開されているため、世間での印象とは異なり透明性が非常に高い設計になっています。ただ匿名で通貨のやりとりをしたいという需要も強く、Bitcoin上にアドオンする形でZerocoinという匿名化の仕組みが開発され、そのZerocoinから派生する形でMoneroやZcashといった新しい暗号通貨が生まれてきました。

Zcoin and Zcash: Similarities and Differences - ZCoin Blog

しかし、各国の捜査当局からすると、マネーロンダリングや違法薬物などの取引に使用されるおそれがあるため、これらの匿名型通貨に対する規制を強化するのではないかという見方もあります。実際、MoneroはAlphaBayと呼ばれる世界最大級のオンラインダークマーケットで使用されています。
btcnews.jp


先日もFBIがMoneroに対して懸念を表明するなど、Moneroを利用した違法取引の摘発に向けて動きが加速することが予想されます。日本でも暗号通貨の規制法(資金決済法の改正)が今年施行される予定で、その際にMoneroやZcashのような匿名コインが認可されるかはひとつの注目ポイントだといえそうです。
www.coindesk.com

プラットフォーム

Bitcoinにない、あるいは大きな制限が加わっている機能を実現する通貨が、このカテゴリーに入ります。たとえばEthereumでは、Bitcoinでは実現できないチューリング完全(ループ処理や分岐処理など、プログラムに必要な要素がすべて含まれた状態)なプログラムを分散ネットワーク上で実現するための仕組みが備わっています。チューリング完全な仕組みにすると、無限ループなどをプログラムに組み込むことで、簡単にネットワークをダウンさせるような攻撃ができてしまいそうですが、プログラム実行にgasというお金を必要とすることで、そのような攻撃を防いでいます。


また、NEMでは最近Twitterで話題になったとおり、NEMにアドオンする形で任意のファイルにタイムスタンプを付与できるApostilleと呼ばれるウォレット機能が実装されています。この機能はBitcoin上にColored Coinをアドインして所有権の存在証明をしようとした試みと似ていますが、NEMには「Mosaic」と「メッセージ送信」という2つの機能が実装されているため、Bitcoinよりも容易にColored Coinに似た機能を実装することが可能になっています(ぶっちゃけまだよくわかっていないのは秘密)。

NEMアポスティーユのホワイトペーパー日本語訳 - クリプトストリーム

また、変わり種として、Steem(時価総額9位)のようにSNSへの貢献度によって報酬をもらえるようなコインもあります。
www.jpbitcoinblog.info

まとめ

マネタリーポリシーやコンセンサスアルゴリズム自体は、技術的には面白いところですが、マーケットからするとそれは各アルトコインの本質ではなく、末梢に過ぎないということでしょうね。


ということで、新しい怪しげなコインを見つけた時は、本当にそのコインが他のアルトコインと異なる価値を提供できそうかを慎重に検討する必要があります。「PoWと違い環境に優しいマイニングアルゴリズム」とかはどうでもいいんじゃ!流行るコインはわかりませんが、マネタリーポリシーとコンセンサスアルゴリズムの新規性のみを押すアルトコインは無視でよしですね(ただ一番危険な奴は、特有の機能があるように見せかけて、実は実現可能性が全くなかったりするやつですが)。

2016年年末時点の時価総額ランキング
cryptocoin.hatenablog.com


本当は100コインくらいを対象に、もっと細かな要素を加味してガリガリ分析したいところですが、データセットを作るところに手間取りギブアップ。。。