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NEMのスーパーノードの役割

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最近Twitter上では、NEM上のApostilleを使った取引が紹介されたり、スーパーノードを構築したりとNEMの話題で大盛り上がりです。NEMの価格も1月に入って大幅に上昇し、1XEMあたり0.000004BTCだったのが、現在は0.000006BTCで取引されています。


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https://www.coingecko.com/ja/相場チャート/nem/btc


今回はTwitterでも話題に上がったスーパーノードについて、Bitcoinにおけるフルノードとの違いもふまえてまとめたいと思います。

Bitcoinにおけるノード

NEMにおけるスーパーノードを説明する前に、Bitcoinにどのようなノードが存在するかを説明します。Bitcoinではノードの種類は大きく2つに分けられます。一つは完全なブロックチェーンを保持するフルノード、もう一つはトランザクションの検証はするものの、ブロックチェーンは保持しないため二重支払いの有無はフルノードに依存するSPV(Simplified Payment Verification)ノードです。


この2つのノードのうち、全ブロックチェーン保有するフルノードの役割はBitcoinのネットワークの安定にとって非常に大きなものです。しかし、Bitcoinにおいてはフルノードになるインセンティブがなく、以下の記事で触れられているようにフルノードにも何かしらのReward(報酬)を与えるべきではないかという議論があります。
Should Full Bitcoin Nodes Get Rewarded like Miners? - Bitcoin News


NEMにおけるスーパーノード

NEMの世界でもノードはBitcoin同様、2種類存在します。ひとつは全ブロックチェーン保有しNEMネットワークのインフラとなるスーパーノード、もうひとつはそれ以外の通常ノードです。Bitcoinにおいては全ブロックチェーンを保持して、自ら二重支払いの検証ができるノードはすべてフルノードと呼びますが、NEMにおけるスーパーノードは全ブロックチェーンを保持している以外に幾つかの条件があります。

スーパーノードの要件

ひとつ目は金額要件です。スーパーノードになるには、3,000,000XEM以上を保有している必要があります。以前の記事でNEMネットワーク上のApositlleを利用したXEMの貸借を取り上げましたが、この貸借の目的はスーパーノードを構築することでした。なお、300万XEMは現在の価値でおよそ2万ドル(約225万円)の価値があります。

2017年6月4日 Update
気づいたら1NEM=24円ほどになっていたので、現在だと7200万円ほどつぎ込まないとスーパーノードは構築できません。。。

https://twitter.com/mizunashi/status/828899530389065729
cryptocoin.hatenablog.com



もうひとつの要件はシステム要件です。スーパーノードは他のノードからブロックチェーン情報を参照されるパブリックな役割がありますので、スーパーノードになるためには応答性能であったり、ブロックチェーンが最新状態であったりするなどのシステム的な性能を求められます。この性能は毎日全スーパーノードを対象に計測が行われ、要件を満たしていない場合は後述する報酬を受け取れない仕組みになっています。
NEMの説明書 - スーパーノードの必要条件
NEM Supernode Rewards Program - Blog Posts - NEM Forum


このようにBitcoinにおけるフルノードとは違い、NEMのスーパーノードにはかなり厳しめの要件が課されています。

スーパーノードのReward(報酬)

NEMにおいてスーパーノードがBitcoinのフルノードと大きく違う点は、「スーパーノードを運営することで報酬を受け取ることができる」という点です。NEMの最初のブロック(nemesis block)において、Sustainability Fundと呼ばれる、NEMネットワークを運営するためのFundが作成されており、そのFundの一部がスーパーノード用の報酬としてあてられています。なお、Fund資金が枯渇した後は、ブロックに含まれるトランザクション手数料の一部がスーパーノードの報酬に当てられる予定です。

Update: Sustainability Fund, Final Redemption Numbers



2016年6月にこの仕組みがスタートした際には、毎日70,000XEMがスーパーノード用の報酬として用意されていましたが、2016年9月に140,000XEM/日まで拡充しています。今後この報酬額はだんだんと増額されていく予定です。


なぜNEMにおいてスーパーノードのRewardが重要かというと、NEMのコンセンサスメカニズムと関係があります。NEMはPoI (Proof of Importance)という誰もが低スペックのマシンで参加できる(Raspberry Piでも参加できるほど)コンセンサスメカニズムを採用しています。Bitcoinの場合は多くのマイナーがフルノードの役割も兼ねていますが、誰もがマイニング(NEMの場合はハーヴェスティングと呼びます)できるNEMの場合は、Bitcoin以上にスーパーノード(フルノード)を維持する努力が必要になります。そのためNEMにおいては特別に財源を用意して、スーパーノードを構築するインセンティブメカニズムを用意しています。


なお、PoIの報酬は取引手数料をもとにしており、スーパーノードに対する報酬とは別の財源を利用していることになります。ちなみに、NEMのスーパーノード報酬やPoIの報酬は税務上所得として申告する必要があるので、ご注意を!

Bitcoinなどの税務処理 (アメリカ編ですが、日本も大きくは変わりません)
cryptocoin.hatenablog.com