25歳海外駐在員の暗号通貨ルポ

25歳海外駐在員の暗号通貨ルポ

25歳の東南アジア某国に居住する駐在員。Bitcoinなどの暗号通貨をメインに、英語や駐在生活に関して情報発信中。

Bitcoinの税務処理 in アメリカ

Bitcoinを利用したサービスが増えるにつれて、Bitcoinから得た利益を税務上どう取り扱うかという話題がよく議論されるようになりました。日本ではBitcoinを売却して、日本円に換えたタイミングで譲渡所得として課税されるという取り扱いが、今のところの税務署の解釈のようです。

ビットコインの売却益に税金はかかるのか?税務署に聞いてみた | こつこつニュース


最近、USCPAを勉強し直しはじめたこともあり、今回はBitcoinなどの暗号通貨のアメリカでの税務上の取り扱いについて確認したいと思います。
cryptocoin.hatenablog.com


アメリカでのBitcoinの取り扱いは株式や債権と同じ

アメリカの税務署に当たるIRS (米国内国歳入庁)が発行したIRS Notice 2014-21によると、暗号通貨はPropertyとして税務処理をするように定義されています。つまり、現金と同様に扱われているのではなく、どちらかというと株式や債権などの資産と同様の扱いをされているといえます。税務上は未実現の利益を申告する必要はなく、売却によって実現した利益、損失のみ (realized gain / loss)を申告すれば良いので、含み益 (unrealized gain / loss)を申告する必要はありません(株や債権と同様とすると会計上は未実現利益を計上する必要がありますが、税務上は必要ありません)。


Capital GainのTax上の取り扱い
Capital Gains Tax 101


この取り扱いは、もともと米国財務省マネーロンダリング対策などの法執行を担当するFinCen (Financial Crimes Enforcement Network)が出した定義に基づいています。ちなみにFinCenは、マネーロンダリングに対してはかなり強気の姿勢で対応する組織で、以前リップルラボの子会社に対してAML対策が不十分な状態で為替交換事業を行ったとして罰金を課しています。

税率は短期と長期で異なる

アメリカでの税法上、資産売却益に対する税率は、その資産が「短期」なのか「長期」なのかで異なります。ある資産を購入した時から1年以内に売却した場合が短期、それ以外は長期という扱いです。

短期の場合
Income Gainの額に応じて、最大39.6%が課税

長期の場合
Income Gainの額に応じて、最大20%が課税

マイニングで得たBitcoinは売却しなくても課税される

マイニングで得たBitcoinは「売上」と同様とみなされるので、マイニング収益を得た時点でのFMV (Fair Market Value、市場価格)で税務申告する必要があります。ただし、「売上」に課税されるのではなく、あくまでも「利益」に対して課税されるので、マイニングに必要となった電気代やASICなどのマイニングチップの減価償却費などを、マイニング収益から差し引いた正味のマイニング利益に対して課税されることになります。これは日本でも同じで、BitcoinのマイニングやNEMのスーパーノードによって得た収益は、所得として税務上申告する必要があるようです。


なお、マイニング収益を得た時点からBitcoin価格が値上がりして、マイナーがそのBitcoinを売却した場合は、マイニング時点と売却時点のFMVの差分を実現利益(realized gain)として申告する必要があります(Bitcoinを購入して、高値で売却した場合と同じ)。

今後のアメリカでの暗号通貨課税

2016年にTIAGA (Treasury Inspector General for Tax Administration) がIRSに対して暗号通貨利用に対しての課税強化を提言したことを受けて、IRSは2017年の9月までに課税強化策を実行に移すことを約束しています。暗号通貨利用者は年々増加していることに加え、暗号通貨価格は2017年に入って軒並み上昇して、かなりの利益を出している人もいることから、2017年は課税逃れへの取り締まりが強化されることが予想されます。

TIGTA Report on IRS strategy for income from digital currencies


参考
Bitcoin Transactions and American Taxation: An Interview With Daniel Winters — Bitcoin Magazine