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Ethereumプロジェクト紹介 第1回 Melonport

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最近のBitcoin分裂騒動や、Ethereumを利用したアプリケーション開発コンソーシアムにMicroSoftなどの大企業が参入したことにより、急速にBitcoinとEthreuemの時価総額の差が縮まってきています。EthereumはBitcoinと異なり、チューリング完全なプログラムを実行できることから、分散アプリケーション (DAPP)の実行基盤として注目を集めています。


今回から、Ethereum上で新たに登場してきた分散アプリケーションを調査、紹介していこうと思います。

Melonport 概要

記念すべき第1回として、分散型のアセットマネジメント基盤であるMelonportを取り上げたいと思います。なぜMelonportかというと、CEOのMona El Isaさん(ゴールドマンサックス出身、26歳でゴールドマンサックスVice Presidentとかいうとんでもない経歴笑)が美人すぎて、紹介動画を見ていても飽きないから笑

紹介動画

Melonport - Asset management on Blockchain - Ethereum London


さて肝心の中身ですが、Melonportはデジタル資産への投資を行うファンドマネージャーの行動をSmart Contractで統制するとともに、Ethereum上のブロックチェーンに取引内容を刻み込み監査可能にすることで、これまで不透明な世界であったファンドを、透明性が高い状態にすることを目的としています。


また、ヘッジファンドをスタートするためには、おおよそ1億5000万ドルの投資額が必要とされています。そのため、これまでは限られたプレーヤーでヘッジファンドは構成されており、手数料もETFなどと比べると非常に高価でした。Melonport Protocol上でファンドマネージャー業務に必要なすべての機能を提供することで、ファンドの選択肢を増やし、ファンドコストを切り下げることを目的としています。


ちなみにMelonportという名前は、ギリシャ語で「未来」を意味する言葉から取っているらしいです。
Melonport | Blockchain software for asset management

Melonportの仕組み

投資対象

Melonportでは投資対象となる、デジタルアセットを以下のように3分類しています。

  1. 実物資産にペッグした資産(金とレートが常に一致しているような資産)
  2. 暗号通貨などのデジタル資産
  3. デジタル資産のデリバティブ


上記例で分かる通り、投資先は暗号通貨に限定されているわけではなく、Smart Contractで制御できるすべてのデジタルアセットを含んでいることになります。究極的に言えば、いかなる実物資産もそれをペッグした形でデジタル資産化できるので、どのような資産であってもトレード対象とすることができるということになります。

ポートフォリオ

Melonportではファンドマネージャーは誰でも自らファンドを作ることができます。このファンドのことを、Melonportではポートフォリオと呼んでいます。ポートフォリオは技術的にはCoreとModuleに分けられます。CoreとModuleはいずれも、 Ethereum上のSmart Contractとして作成されます。


Core
Coreはどのポートフォリオでも必須となる構成要素となります。Coreは、ポートフォリオのルールや性質を決めることになる、Module群を束ねる役目を持っています。


Module
Moduleはポートフォリオが資産を取引するのに必要となる取引所の情報や、取引を実施するにあたって必要となるルールを提供します。ファンドの目論見書のようなものであり、Smart Contractでこの目論見書の内容を強制でき、かつ監査可能であることがMelonportの一番の特徴と言えます。


このModuleは誰でも作成することができ、Moduleの開発者はそのModuleの対価としてのCommissionをMelonportのトークンであるMLNで請求することができます。イメージとしては、Apple Storeを想像するとわかりやすく、Melonport上にいくつものアプリケーション(Module)が登録され、ファンドマネージャーはそれを選択して対価としてMLNを支払うことで利用することができるようになります。


例えば、Register Moduleとよばれるモジュールでは、投資対象のデジタルアセットや取引を行う取引所をSmart Contractを利用することにより制限することができます。最近「みんなのクレジット」で投資資金の使い込みやポンジスキームが発覚しましたが、そういったこともMelonportを使用することで防止することができます。


また、金融専門家がCEOなだけあって各国の規制対策も検討しているようで、モジュールにはKYC対応のためのモジュールなども用意されています。


投資方法

ポートフォリオへの投資方法は2種類が検討されています。ひとつはポートフォリオのShareをどこかしらの市場から購入すること、もうひとつはEtherを払い込むことで対象のポートフォリオの持分(Share)を購入することです。あえてEtherと書いたとおり、ポートフォリオへの投資の際にはMLNを使用する必要はなく、ETHを使用する仕組みになっているようです。


投資先のファンドを選択できるポータル画面
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なお、2番目のEtherを払い込むことによりポートフォリオに投資を行う場合には、価格がどのように決まるかが重要になります。投資家としてはポートフォリオを通して原資産に投資したいのであって、ポートフォリオの人気に対して賭け事をしたいわけではないからです。そのことを考慮して、Melonportでは需要により決定される価格ではなく、ポートフォリオに組み込まれた資産価格を元にShareの価格が決定される仕組みになっています。


また、投資信託の購入の際にはよくファンドの購入手数料が重要視されます。購入手数料の仕組みは今現在存在しているファンドの仕組みとほぼ同じであり、2種類の手数料から構成されています。ひとつは固定で必要となるManagement Fee、もうひとつはActive Fund (市場平均ではなく、売買によって市場平均を超えた超過利益を狙うファンド)を購入する場合のみ必要となるPerformance Feeです。

開発タイムライン

2016年12月時点のCOIN INTERVIEWでのコメントを参考にすると以下のようなタイムラインで開発を目指しているようです。現在はPoC (実現性の検証)が終わり、初回のICOを完了した状態です。今後2017年8月に向けて開発を進めていく予定です。

2017年2月 ICO
2017年8月 Draft Versionとして実装完了
2019年2月 ガバナンスの強化やフロントエンドの強化を完了
Melonport Announcement: Token (MLN) Pre-sale February 15th, 2017 — Contribution and Specification…


まとめ

個人的にはけっこう期待しているMelonportを紹介しました。ETFの登場で分散投資は簡単になりましたが、これまではETFを組成できる人は証券会社の限られた人たちであり、投資先も限定されていました。Melonportを使用することで、これまで投資できなかった対象に安価な手数料で簡単に分散投資できるようになることが期待されます。


第2回の対象はまだ未定です。心に響くプロジェクトがある方は教えて下さい笑