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Bitcoin超概要 トランザクションとブロックチェーンの役割と違い

「ブロックチェーンはBitcoinの裏側の仕組みで、ブロックチェーンはBitcoin以外の暗号通貨でも使用されている。」

 

このことは多くの方が理解されていることだと思いますが、そもそもBitcoinにブロックチェーンが必要な理由とはなんでしょうか。

 

そもそも金銭の授受ってどんな要素がある?

そもそも金銭の授受(=Bitcoinのやりとり)ってどのような要素が絡んでくるのでしょうか。金銭の授受の原因としては、売買契約の対価、贈与などいくつかの法律行為があげられますが、Bitcoinとしては特に金銭授受の原因にはタッチせず、純粋に金銭の授受にフォーカスした仕組みになります。

 

一般に、金銭の授受には、以下の要件を満たす必要があります。

  1. 金銭が受信者に受け渡されること
  2. 授受が送信者に承認されていること
  3. 金銭が送信者から存在しなくなること

 

トランザクションとブロックチェーン

ブロックチェーンを理解するにあたって、まず個々のBitcoinの取引はどのように管理されているかを知る必要があります。この個々の取引は、Bitcoinの世界ではトランザクションと呼ばれています。

 

トランザクション

トランザクションBitcoinの受け渡し履歴になっています。具体的には、以前のBitcoinの保持者が誰であったのか、新しいBitcoinの保持者が誰であるのかという情報に加えて、以前のBitcoin保持者がその取引に同意したという情報が含まれています。

 

お気づきになられた方も多いかと思いますが、この記事の最初に触れた「金銭の授受を成立させる要素」は、ブロックチェーンではなく、このトランザクションで実現されています。

 

それでは、ブロックチェーンの役割はどんなことなのでしょうか?

 

ブロックチェーン

ブロックチェーンは、ある取引が当事者だけでなく、第三者から見ても成立していると確信させるために存在しています。専門用語でいうと、対抗要件を具備することが目的です。

 

通常の金銭であれば、お金そのものを持っていることが対抗要件になります。例えば、私が100円玉を持っていたらそれは私のものですよね?(詐欺などで手に入れたことも考えられますが、そういった違法行為があったとしても今私がその100円玉を持っているという事実は変わりません。)

 

一方、Bitcoinの場合は現実のお金のような実態(モノ)はないので、ひとつのBitcoinを複数人に譲渡する行為、すなわち二重譲渡が発生する可能性があります。しかし、Bitcoinは現実には1つしかないということにしておかないと、無限にBitcoinが増殖してしまうので、どちらが正当な取引なのかを判別する必要があります。このとき、正当な取引であると取引外の第三者に主張できる条件を”対抗要件”といいます。

 

現実世界では、不動産取引に代表されるように、”登記”という仕組みを使用して対抗要件を規定していることが多いですが、Bitcoinで登記を利用してしまうと中央集権的な仕組みになってしまい、Bitcoinが持つ分散的な仕組みを活かすことができません。そこでBitcoin開発者が考えたのが、ブロックチェーンという仕組みです。

 

ひとつのブロックには複数のトランザクションが含まれています。そして、ブロック"チェーン"というくらいなので、"ブロック"がいくつも連結された状態で保持されています。ブロックをブロックチェーンの最後のブロックに接続していくことを”マイニング”といいます。マイニングは複数の人が同時に行うので、時としてチェーンが枝分かれして複数生まれてしまうときがあります。このときどのブロックチェーンが正当なものであるかを判別する方法は単純で、最も長いチェーンが正当なものとしてブロックチェーンの世界では扱われます。

 

つまり、自分のトランザクションが含まれるブロックが最も長いチェーンに含まれている場合は、そのトランザクションは第三者に対抗できる状態ということができます。ここで当然考えられるのが、その後長いチェーンが入れ替わってしまったら自分のトランザクションは無効になってしまうのではないかという疑問です。

 

ここがBitcoinの面白いところで、当然別のチェーンの方が長くなってしまうことはあるのですが、自分のトランザクションを含むブロックの後ろに複数のブロックが連結された場合(一般に6ブロック程度と言われています)、その後で別のチェーンが自分のチェーンよりも長くなる可能性は限りなく低くなっています (PoWという仕組みで実現していますが、それについてはまた別の機会で説明します)。

 

まとめ

Bitcoinの金銭授受情報はトランザクションに記載されていますが、二重支払いを防ぐためにブロックチェーンを使用して、第三者がトランザクションの正当性を検証できるようにしています。

 

 

海外駐在員の投資について

海外駐在員になってからの悩み。それは日本で投資が継続できないことでした。ここで投資といっているのは、ネット証券会社を通した株式投資のことを指しています。

 

法律上は申告などを正しく行えば問題がないようですが、証券会社内の自己規制として国外居住者(もちろん日本の非居住者となった海外駐在員を含む)については、新規株式取引はもちろんのこと、既存株式の保持も認めていないようです。

理由は税金の申告面がやっかいなようで、基本的には国内源泉所得となり課税対象になりますが、租税条約の有無などにより扱いが異なるため、業務上の手間やリスクをおそれて株式取引を全面禁止にしているのが現状のようです。

No.1936 海外転勤中に株式を譲渡した場合|所得税|国税庁

 

とはいえ、これまでは住所を実家などにして取引をしている人もいたようですが(念のためで申し置きしておくと、私はしていませんよ笑)、来年(2017年)からCRSの導入により証券会社は口座保有者の居住国の特定義務が生じるようになったため、ごまかしが効きづらくなることが想定されます。

マイナンバー制度も導入されていることから、少なくとも自己名義での取引は今後完全に不可能となることが想定されます。

http://www.nta.go.jp/sonota/kokusai/crs/pdf/02.pdf

https://海外送金税金.com/blogs/commentary/共通報告基準(crs)に基づく自動的情報交換の動/

 

個人的には海外在住でも取引できるように、証券会社には頑張ってスキームを考えてほしいものです。。。

 

代替手段として、海外の証券口座を開く、現地の定期預金口座を開設する(東南アジアの新興国インドネシア、マレーシアなど)であれば利率3%以上)などいくつか方法はあるかと思いますので、アップデートしていきます。

 

海外駐在時の投資に関して、税制面のまとめはこちら。

cryptocoin.hatenablog.com

 

インドネシアでのBitcoin投資については、こちらの記事もどうぞ。

cryptocoin.hatenablog.com

 

Bitcoinの相場高騰 3つの理由

2016年も残すところあとわずかですが、ここにきてBitCoinの価格変化がとまりません。現在時点で1BTCあたり、約960ドルまで高騰しています。

f:id:steinith310:20161228154237p:plain

BTC USD 証券株式相場 | ビットコイン ドル 相場

 

これはドルベースですが、最近は円安の影響もあり円Bitcoinレートで換算すると1BTCあたり約110,000円まで高騰しています。つい数ヶ月前まで、60,000円程度で推移していたことを考えるとものすごい高騰です。

 

アメリカのBitcoinニュースサイトでは、2017年に向けてBitcoinが1000ドルを突破すると予想しており、その予想が現実のものになろうとしているように思えます。

www.newsbtc.com

このサイトでは、Bitcoinの相場が高騰する要因を5要素にまとめていますが、もう少しシンプルに以下の3要素で説明できるかと思います。

 

Bitcoin価格高騰 3つの理由

1) 実需の増加

新興国での送金需要やインフレ懸念のある自国通貨からの逃避などを通して、実需が増加しています。特に、Bitcoinの長年の課題であったBitcoin利用がこれ以上に拡大した場合の問題(Scalability問題)がSegwit採用の投票開始によってリスク低下したことから、今後実需面での需要は増加していくものと考えられます。

 

Segwitに関する記事はこちら

cryptocoin.hatenablog.com

 

ただ、SegWigが採用されるかどうかはMinerの投票にかかっており、現時点では採用される確信はだれも持てていない状況です。今後この対立が加速し、Unlimited派とCore派(SegWit派)に分裂してしまったときには、Bitcoin価格の下落要因になりえます。

 

2) 投資資金の流入

中央銀行による金融政策の影響を受けない点、また供給量が漸減していく点が投資家に魅力的であるため投資資金が流入していると説明しています。2点目については同意見ですが、1点目についてはイコールリスクでもあるため、個人的には懐疑的です。

 

Bitcoinの値動きの特徴

以下の記事では、Bitcoinの値動きの特徴を、主にBitcoinの供給の観点からまとめています。Bitcoinの供給曲線は通常の財とは異なる特徴を持つので、値動きが荒くなりがちです。

cryptocoin.hatenablog.com

 

3) 投資基盤の確立

投資基盤として取引所サービスが充実してきています。日本だけでも、昔はbitFlyer、Zaifなどと限られた取引所だけであったのが、今では10以上の取引所が設立されるなど基盤が確立されてきています。

取引所 - ビットコインの入手 | Bitcoin日本語情報サイト

 

ただ、2017年5月頃に資金決済法が改正される予定で、現在暗号通貨の取引所はマネーロンダリング対策、KYC (Know Your Customer)など規制対応を迫られています。株式やFXの取引所なみの規制が加えられる予定のため、今後の取引所ビジネスへの新規参入は鈍化することが予想されます。

まとめ

実需の増加、投資資金の流入、投資基盤の確立がBitcoinの価格上昇の要因ということでした。しかし、いずれの観点でも大きなリスクが潜んでおり、2017年に入ってから上昇傾向が続くと言い切ることは難しい状況です。

 

特にSegwitの導入が遅れたり、導入が見送られた場合は、Bitcoinコミュニティの対立が加速し、最終的にBitcoin自体が2つに分裂するおそれもあります(ハードフォーク)。その場合にはEthereumがEthereumとEthereum Clasicに分裂したときのように、価格が大幅に下落することも考えられます。

 

とはいえ、暗号通貨には既存の通貨にもない大きなメリットもあるので、引き続き状況をウォッチしていきたいですね。

cryptocoin.hatenablog.com

一時帰国時のSIMカード

一時帰国した際に、羽田空港SIMカードを購入しています。ただ、ものによってはあまりにも受信できる電波が弱く、電車に乗ると繋がらなくなる始末。次回同じ目に遭わないように、羽田空港で購入できるSIMカードを調べたところ、購入できるSIMカードの一覧が、以下のサイトでまとまっていました。

news.livedoor.com

 

最近ではこのサイトを参考に、+橋本環奈につられて、U-MobileのSIMを使っていましたが、数日しか滞在していないに数千円払うのはもったいないと常々感じていました。さらに追加調査したところ、最近のSIMカードの中には月額使用料がほとんどかからないものもあることがわかったので、その中でもオススメSIMカードについてまとめてみようと思います。

 

海外駐在員の日本でのSIMカード事情

基本的に海外に駐在している人たちは、日本のSIMは解約し、一時帰国時に羽田や成田でSIMカードを購入して日本での数日間を乗り切っているかと思います。しかし、それには以下のような問題が。

 

 ・期間が5日からしか選べない

 空港で購入できるSIMカードは、「5日間は使用可能」というように利用期間が決まっている場合がほとんどです。そのため、出張などで2日間しか帰国しないような場合などには、残り3日分が無駄になってしまいます。

 

・購入→セットアップに時間がかかる

今ではSIMの自動販売機もありますが、セットアップの時間も含めると以外に時間がかかってしまうもの。限られた時間を有効活用したい一時帰国の際は、この時間も削減したいものです。

 

解決策

これらの問題への解決策は、使い切りのSIMではなく、格安または無料の維持費用でまかなえるSIMカードを日本で購入しておくことです。

 

現在のところ、以下の2種類のSIMカードがオススメです。

  • FREETEL
  • 0 SIM
FREETEL

FREETELのSIMカードの特徴は、月額わずか299円でSIMカードを維持できる点です。一時帰国も数日であれば、データ通信量は1GB以下だと思いますので、499円で利用することができます。

FREETEL SIM|料金・プラン|FREETEL(フリーテル)

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0 SIM

0 SIMの特徴は、その名の通り最低利用料金が月額0円である点です。FREETELで必要だった299円すら不要!

0 SIM | nuroモバイル

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じゃあ、0 SIMの方がいいじゃないかと思われるかもしれませんが、一点だけ問題が。FREETELの場合は仮にある月に全く利用しなかったとしても自動解約されることはありませんが、0 SIMの場合は3ヶ月利用していないと自動で解約されてしまいます。

 

そのため、出張などで定期的に帰国する予定がある人には0 SIMをオススメしますが、年に数回の帰国程度の場合はFREETELを利用することをオススメします。

暗号通貨相互利用のためのスキーム Cosmos

暗号通貨はBitcoinからスタートしましたが、今やRippleやEthereumなど500種類以上のコインが生み出され、流通しています。これまでも、取引所などを通して暗号通貨間の交換をすることは可能でしたが、暗号通貨どうしをシームレスに連携して使用できるようにするため、Cosmosという仕組みが存在しています。

bitcoinmagazine.com

 

Cosmos概要

GitHubのIntroductionによれば、Cosmosの概要は以下の通りです。

cosmos/WHITEPAPER.md at master · cosmos/cosmos · GitHub

 

まず前提として、Cosmos内部でのやりとりのため、Tokenが通貨がわりに使用されています。

 

Cosmosにはブロックチェーンが2種類あります。1つ目のブロックチェーンはCosmos Hubとよばれ、ZoneとよばれるCosmos内の複数のブロックチェーンとIBCというプロトコルを介して接続します。Cosmos Hubの役割は文字通り暗号通貨間のHubとして、暗号通貨全体でどれだけのTokenを保持しているかを管理するとともに、Zone間のTokenの受け渡しを仲介する役割を果たします。

 

2つ目のブロックチェーンはZoneと呼ばれ、BitcoinやEthereumなど別の暗号通貨を媒介する役割をもっています。Zoneはひとつだけではなく、暗号通貨ごと(必ずしも暗号通貨単位である必要はありませんが)に別のZoneを使用することができます。厳密には、1つ目のブロックチェーンであるHubは、Zoneのひとつです。

 

イメージ図は以下のようになります(上記GitHubのサイトより抜粋)。

f:id:steinith310:20170105012846p:plain

 

それぞれのZoneは定期的にブロックチェーンの状況をCosmos Hubに送信することで、Cosmos HubはZone全体の状況を把握することができます。逆にZoneもCosmos Hubを通して他の通貨のZoneからの情報を受け取ることができます。

 

具体例は以下の記事に書かれていますが、EthereumのContractを実行して、Bitcoinの決済をするというような、各暗号通貨の長所を活かせる仕組みが増えていくかもしれません。EthereumとBitcoinの例では、Ethereumの契約執行機能とBitcoinの流通性、換金性というそれぞれの長所を享受できることになります。

btcnews.jp

Ethereum基礎 Smart Contract超概要

最近注目が集まっているSmart Contract。暗号通貨では、アルトコインの一種であるEthereum上のThe DAOというネットワークで実現されていました

(*) The DAOはプログラムバグにより崩壊、EthereumはEthereumとEtheum Classicの2つにハードフォークするきっかけとなってしまいました。。。

 

Bitcoinの基礎理解についてはこちら!

cryptocoin.hatenablog.com

 

Smart Contractについては、最近記事が多数執筆されており、暗号通貨界だけではなく、日経新聞にSmart Contractについての記事が掲載されるなど、注目度が高まっているようです。さらなる理解のために、英文記事の翻訳をとおしてSmart Contractの実態にせまります。

 

Smart Contractの目的

Smart Contractの目的は、現実世界でいう「契約」というスキームを実現することにあります。Smart Contractがどのようなものなのか、Wikipediaの記事を引用すると以下のようなことが書かれています。

Smart contracts are computer protocols that facilitate, verify, or enforce the negotiation or performance of a contract, or that obviate the need for a contractual clause. Smart contracts usually also have a user interface and often emulate the logic of contractual clauses. Proponents of smart contracts claim that many kinds of contractual clauses may thus be made partially or fully self-executing, self-enforcing, or both. Smart contracts aim to provide security superior to traditional contract law and to reduce other transaction costs associated with contracting.

スマートコントラクトとは、契約交渉、契約履行を円滑に進め、契約履行条件の確認、契約履行の強制を行うためのコンピュータプロトコルである。スマートコントラクトを導入することで、書面での契約は不要になる。スマートコントラクトは通常書面での契約に似たユーザインターフェースを有している。そのため、多く書面での契約は部分的にまたは全面的にスマートコントラクトに置き換えることができるであろうと、スマートコントラクトの提唱者は主張している。スマートコントラクトは伝統的な契約よりも安全性の面での優位性、及び契約に伴うコストの削減を目的としている。

 

最初に、Smart Contractの一番の目的は、”契約”というスキームを実現することと表現しましたが、暗号通貨で契約を実現する目的をまとめると以下のようになります。

<目的>

・契約の安全性の向上

・契約のコスト削減

 

Smart Contractの例

単なる契約書類の電子化と異なる点は、契約履行条件をソースコードに落とし、契約履行まで強制できる点にあります。これだけではわかりづらいため、以下のサイトに記載されていた例を引用してみます。

What Are Smart Contracts? Cryptocurrency's Killer App ⚙ Co.Labs ⚙ code + community

 

Let's take a simple example, like a Super Bowl bet. Say you want to bet $500—or roughly one bitcoin—that the Patriots will win, while your friend is betting the same amount that the Packers will take the title. Step one is for you and your friend to place your bitcoin in a neutral account controlled by the smart contract. When the game is over and the smart contract is able to verify via ESPN, Reuters, or elsewhere that the Patriots beat the Packers, the smart contract would automatically deposit your bet and your winnings from your friend back into your account.

Because smart contracts are computer programs, it would be trivial to add more complex betting elements like odds and score differentials into the mix. While there are services out there today that might handle this sort of transaction, they all charge a fee. The key difference with smart contracts is that it is a decentralized system accessible to anyone, that doesn't require any intermediary party.

A more everyday example would be online shopping. "If you order something online you might not want to pay a merchant immediately until they fulfill their end of the bargain," says Rapoport. "So you could easily have a contract that looks for FedEx tracking data saying that the package you ordered has been delivered to your address before releasing payment to the sender."

 

例その1 賭博の自動執行

アメフトでの賭けが例に上がっています。アメフトになじみが薄い人がほとんどだと思うので、野球の日本シリーズを例にしてみましょう。

 

設定:日本シリーズで中日対楽天が戦う

今年このカードが絶望的なことは無視してください。

 

自分 (A) が中日に賭け、友人 (B) が楽天に賭けたとします。これをSmart Contractで実現するには、まずAとBがSmart Contractを管理するアカウントにビットコイン(仮想通貨ならビットコインである必要はないが、ここでは例としてビットコインをあげている)を送金します。

 

仮に中日が首尾よく勝ったとすると、Smart Contractが試合の結果をYahoo Newsなり、ESPNなり何かしらのサイトから取得した結果に応じて、事前にプログラム内に設定していたオッズをベースに配当額をAに送金するということになります。言い換えると、履行条件をSmart Contractで決定した上で、履行の強制までSmart Contractが実現するということになります。

 

ポイントはSmart Contractを管理する業者がいるわけではなく、「分散化された仕組み(decentralized system)」を利用して、この賭博契約(違法かどうかはさておき)を自動で執行している点です。

 

そのため、賭博業者が中間マージンをさっぴくコストが削減される点が、(少なくとも利用者にとっては)メリットとなります。

 

例その2 代引きの代替

2つ目の例では、オンラインショッピングを例にしています。オンラインショッピングで商品の到着と同時に支払いを行いたい場合どうすればよいでしょうか (例えば、宅配業者やサプライヤーが信用できない場合)。

 

方法は単純で、Smart Contractで商品の到着と同時に支払いを行うことを明記するだけです。これまでは、「商品代引き」など配送業者がこの役目を担っていたが、例えばヤマト運輸の「

クロネコヤマトの荷物お問い合わせシステム」から配送状況を取得し、自宅に到着したことが確認できたら送金処理を行うことを、プログラムに組み込んでしまえば良いかと思います。

 

残る疑問 

ここまでSmart Contractの定義、及び具体例を見てきました。ただ、疑問点もいくつか。

 

ビジネス的な疑問

例からわかる通り、契約執行に関わる情報が「配送業者」や「ニュースサイト」が提供しているものであれば、契約の履行条件を設定することは簡単そうです。しかし、「相続」のように条件を満たす情報を速やかに取得することが難しそうなものもたくさんあります。そのような場合、どのように契約のトリガーをデザインするか。

 

技術的な疑問

Smart Contractは契約執行に関わる情報を各種サービスから取得して、契約を執行しています。これらの情報の取得をどのように行うのでしょうか?頻繁にYahoo Newsにポーリングするなどの仕組みにしてしまうと、今現在は大丈夫かもしれませんが、将来的にアクセス数が増えすぎてスケールしなくなってしまう恐れがあります。